仕事関係の人たちと焼き肉を食べる機会があった。
かなり目上の人たちも同席している会だったので、僕は自分で「これはいちばん下っ端だぞ」という自覚を持っていた。注文を聞いて、空いたお皿を下げて、肉をひっくり返すのも当然僕がやらなくちゃいけない。そう思っていたんだ。
ところが、だ。テーブルの向いに座っていた同年代ぐらいにみえる他社の男性。彼もまさに、僕と同じことを考えていたのである。テーブルを挟んでの冷戦が幕を開けた。
最初に重大なミスを犯したのは僕の方。注文を聞くのに必死になり過ぎて、彼にトングを押さえられてしまったのだ。
注文を聞いたりするのは頻繁ではない。やはり焼き肉においては、肉を焼いてひっくり返した回数こそが勝敗を分けるのである。それなのに僕ときたら、いともあっさりトングを奪われてしまった。しかもこの男性、僕のトングを睨む視線に気がついているのか、飲んでも食べても喋っても、トングを握りしめて離さないときているのである。このヤロー!
「トングひとつでこうも戦況を変えられてしまうのか‥‥」
絶望に打ちひしがれる僕。しかし、戦況を変えたのは意外にもあの‥‥!
トングの行方はいかに!?上カルビをひっくり返すのは誰か!?
続きないけど次号を待て!!