夜な夜な呑み歩いている僕だが、やはり酒には肴が重要になってくる。
「いきなりなんだ」というような書き出しだが、これは実際にそうだ。だいたい酒には適した肴があって、日本酒には、焼酎には、ワインには、ウイスキーには、と、それぞれ「これだ」という肴があるものだ。「酒は人類の友である」とも聞くが、そうであるならやたらめったらに酔っ払うばかりでは友達付き合いも一方通行というもの。毎夜の酒にぴったりくる肴を用意することが出来れば、友達との付き合いも豊かになるだろう。
さて、人類がそうであるのはそれとして、「実はアシカにもそういうところがある」というのが今回の話題だ。
オレゴン州アストリアの港で、船着き場に詰め掛けたアシカが不当に、いや埠頭を占領してしまったという記事があった。桟橋が壊されたり糞尿まみれになったりと、けっこうな被害が出ているらしい。破壊と排泄の二重快楽とは、さぞアシカは気持ちがよかろうと思う。
そこで人類が立てた対策が、実物大のシャチ模型を泳がせてアシカたちを追い払おうというものだった。
要するに案山子作戦なのであるが、このシャチ模型にはエンジンが付いていて、スピーカーからは録音したシャチの声が流れるという。ドローンが飛び交うこの近未来において「なんだかなあ」感がぬぐえない上に、人が乗り込む運転席まで付いているそうで、それがまた何とも。
ところで、何故アシカが船着き場に詰め掛けているかというと、どうも産卵の為に集まって来るサケを美味しく頂くのが目的らしい。
作戦の方は案の定失敗。エンジントラブルにより水中で引っ繰り返ったシャチから慌てて飛び出す運転手。アシカたちは怖がることもなく、その滑稽な姿を見物してサケの肴にしていた。という話である。
勿論、人類サイドも必死であることは承知しているので、アシカらず。