3年前の春、これから訴える内容と同じテーマのことを、僕はここに書いている。が、もう一度書きたい。訴えたい。「メガネが曇らないマスク」について。
これまで僕は「マスクの上部に針金のようなものが通っていて鼻にフィットさせることが出来、それによってメガネに空気が抜けず曇らないマスク」を使用していた。しかしそれでもメガネは曇った。「鼻の形がおかしいのかな?」などと僕は自分を疑いかけたが、他のメガネ人から話を聞いたところみんなも同様のマスクで曇っているらしく、とりあえず身体的特徴への疑いを晴らした僕は、「本当にメガネが曇らないマスク」の開発を待つ事にした。ここまでが3年前に書いた内容だ。
そしてこの度、僕は見つけた。新しい機構を組み込んだマスクを。
それは、「上部の鼻に被さる部分が目元まで伸びており、そこをメガネの鼻当てで押さえる事によってメガネに空気が抜けず曇らないマスク」だった。
店頭でその商品を見た僕は「なるほど!」と手を打った。メガネ側のパーツである鼻当てを活かそうというのは新しいじゃないか。これこそまさに、僕が待ち望んでいた「本当にメガネが曇らないマスク」に違いない。僕はうきうきしながらそのマスクを購入し、それまで装着していた針金のマスクを外した。
曇らないように慎重に呼吸をしていても尚、じわじわと曇ってきた針金マスク。でも、がんばってくれた方だよ。花粉が僕の鼻を刺激するようになったあの日から、僕らのメガネ&マスク戦争は始まったよね。あれから何年も経った。いろんなマスクを試したけれど、君がいちばんがんばってくれたんだ。サンキュー針金マスク。そっと上着のポケットにしまう。
力強い季節の風が、すべての雲を吹き飛ばしたような、晴れやかな春の空。新たなマスクを装着しての一歩を踏み出した僕の視界は、三歩目で曇っていた。