学生時代のことだ。
僕の通っていた専門学校は、作業を進める為に機材のある学校に泊まることが出来た。課題の期日が迫る時期には多くの学生がそれを利用し、課題でなくても何かしらの企画を立ち上げ連日の作業に没頭する者もいる。
そして何と言っても学生時代のことであるから、作業をする目的でなくても、単純に皆で遊ぶ為に泊まることもある。合宿気分でワイワイと、簡単な青春の充実を得る。
そんな学生時代、振り返ってみても最も大掛かりな作業をしていた時のことだ。
連日の徹夜作業で頭も体もフラフラの午前3時頃。僕は一服する為に喫煙所である非常階段に出た。季節は冬。皆何かと作業を抱える時期で、非常階段では数人の愛煙家がガタガタと震えながらも煙を吐いている。
と、そこに友人のKが現れた。彼も作業が差し迫っており今夜は徹夜とのこと。
休憩も兼ねたひと時、とりとめもない話をしながら煙草が燃え尽きるのを待っていると、友人Kはまたもこんなことを言い出したのだ。
「今、そこを白いロングスカートを履いた人が通ったよな」と、階段の上の方を指差している。
またも、と書いたが、そうなのだ。このKがこんなことを言い出すのはその日に限ったことではない。何かにつけて現世のモノではないナニかを見たと言い出すやっかいな男なのだ。
別にその、幽霊というモノを見てしまうことに関してどうこうという話ではない。体質とか、なんかそういうのが色々とあるのだろう。
普段ならばそんなことにイチイチ目くじらを立てたりはしないのだが、その日は連日の徹夜作業でフラストレーションが溜まっていた事もあり、僕は必要以上にイライラして、つい声を荒げてしまった。
「あぁぁぁぁもう!オバQオバQ!」