直径10メートルのドーナツを、飲み物なしで食べるのってどれぐらい辛いことなのだろうか。
その答えが出かけた瞬間、僕は目覚めた。10メートルのドーナツを目の前にすることが出来て、僕は満足だった。そう、いまだにドーナツ化現象の落とし穴から抜け出せない僕らは、穴から這い出るのか、外に向かって食べ進めるのか、決められないまま新世紀を迎えている。ペヤングは新しい韓流スターではないというのに。
だいたいシュガーをかけてどうにかなる問題ではないのだ。アーノルドシュガルツネッガーと定義してみても、それはタイプミスとして処理される。アーノルドショッツルネッガーとか、Unknown松竹殿下とか、もうわけがわからない。
幼い頃は辛いことの連続だった。それでもおせちの栗きんとん、お歳暮の中のホワイトロリータを頼りにどうにかここまで辿り着いた。マングローブの森を抜けたそこには、電気毛布の温もりがある。それだけが僕を動かしていた。
そして、0をひっくり返しても0だってことに僕は気づく。同時にゼロを逆から読むとロゼであることにも気づいて、世界が急に開けた気がした僕は全てを理解した。
そう、僕が本当に欲しかったもの。それは「奇天烈大百科」なのだ、と。