カテゴリ
全体ノーマルコラム 長編「YAKYU」 以前の記事
2020年 05月2018年 08月 2018年 02月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2015年 12月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 07月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 04月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 2005年 06月 2003年 02月 2003年 01月 2001年 01月 検索
その他のジャンル
記事ランキング
|
こないだの休日。珍しく朝早くに目覚め、何気なくテレビを付けてみると料理番組が始まった。
料理の先生である男性が、トミーズの雅にそっくりだという事実にはすぐに気がついた。本当によく似ている。ここで隣にいるのが健ちゃん似のおっさんだったら笑ってしまうけど、休日の朝から男の料理で食卓を彩っている場合ではない。 実際のアシスタントには、正しくテレビ局の女子アナが付いており、視聴者に解りやすいようにその料理の作り方の説明、注釈を付けていた。 だが、一生懸命説明をする女子アナとは対照的に、先生はとてもラテンな人物だった。女子アナの説明を遮って繰り出されるダジャレはとても軽快であったが、その度に女子アナの「チッ」という舌打ちが、ブラウン管越しにも伝わってくる。 作っていたのはメンチカツのような物だったろうか。少し記憶が曖昧だけど、ひき肉を叩いていたのは覚えている。女子アナの顔が明らかに引きつった最初の瞬間が、まさにそこだったからだ。 「こうやってね、両手でね、肉を叩くんですよ!ハイぱちんぱちんぱちんとー!」 「こうですか?」 「もっとリズミカルにやらなきゃダメだよ!ほらほらほらほらー!それそれそれそれーい!」 「え、えぇと、これはあれですよね、たしか空気を抜くためにやるんですよね?」 「ちーーーーーがうよ! たーのしいからやるんじゃない! アッハッハッハ! それそれぱっちんぱっちんと!!」 このやり取りだ。作り方の内容にまで、ラテンのリズムが入り込んでしまっている。苦笑するのが精一杯でフォローできない女子アナ。「肉を叩くのは楽しいからやる」という内容が覆らないままに、料理は進んでいく。 そして油の中で美味しそうに揚がるメンチカツ。それを箸で取り上げ、トミーズ先生は言った。 「いやぁ!美味しそうな・・・ たぬき色だね!」 女子アナ、ついにこれをスルー。ピクリとも動かない表情が見事。 カラッとたぬき色に揚がったメンチカツは、綺麗にお皿に盛り付けられ、実に美味しそうだった。それを見ていたらお腹が空いたので、僕はすぐに朝食を取る事にした。 が、空腹感の他にもうひとつ、この番組が僕にくれた感情は、食事だけでは満たされる事のないどこかセンチメンタルな虚無感。そのぽっかりと空いた心の穴を埋める術がないままに、僕はただ時間による解決を待つしかないのだった。
by lofibox
| 2006-02-22 16:41
| ノーマルコラム
| |||||||
ファン申請 |
||