あまりにも部屋が暑いので、手ごろな値段のものがあれば購入に踏み切ろうかと思い、僕は家電の大型量販店へ足を向けた。ターゲットはもちろん”エアコン”である。
「エアコン売り場はこちらです。」というような案内を探して歩き出すと、最初にふと立ち止まったところがエアコン売り場だった。なかなか都合の良い展開で、素敵な出会いに期待もふくらむ。
いざエアコン売り場へ足を踏み入れようとする僕だったが、よく見ると売り場は道が3つに分かれており、その上には『エアコン通り』という看板がかかっていた。それぞれ特徴ごとに分類して陳列してあるようだった。
僕はなるべくひなびた通りを選んで進んだつもりだったが、どのエアコンもとても手ごろとは言えなかった。僕の懐事情では、どのエアコンを相手にしたところで負け戦になることは必至だった。まるで勝機が見えないのだ。
「ここではダメだ。」 僕はそう思った。まだここで勝負するには時期尚早であると、僕の本能が察知したのだ。僕は、『エアコン通り』の影として、必ず存在するであろう『エアコン裏通り』を探すことにした。『エアコンのスラム街』と言ってもいいだろう。
そうして、僕はその場所を離れた。
今年も暑くなりそうです。ハイ。