友人のN君と、他愛もない話をしていた。
他愛のない話なので、内容も薄っぺらいものだ。僕はN君に、「靴下を右足から履く、なんていうジンクスがあるって言うよね。」と言ったのだが、どういう流れでそのセリフが出てきたのかは、全く覚えてはいない。それぐらい薄っぺらい。
しかし、それを受けたN君は僕にこう言った。
「ああ、そういうジンクスなら僕にもあるよ。」
「へえ、どんなんだい?」 と、僕。
「マヨネーズは必ず最後まで使い切るようにしているんだ。」
「ああ、マヨネーズを・・・。」
はて、マヨネーズを最後まで使い切る、というのは、実用的で、必然性もきちんとあって、何というかそれはジンクスとは言わないんじゃないのか。
「N君それは、ジンクスとは違うんじゃないかい。」
「ええ、どうして。」
「ジンクスって、願掛けみたいなものだろう。マヨネーズを使い切るっていうのは、もったいないからそうしているだけじゃないのかい。実用性が伴ってしまったら、願掛けにはならないんじゃないかい。例えば十徳お守りなんてのは、成立しないだろう。」
「いや、そう言われても・・・。僕は純粋にね、マヨネーズを使い切ることにさ、自分の健康だとか、仕事の事だとか、うまくいきますように、って思いながらね、最後まで使い切るようにしているんだよ。願掛けしているんだよ。」
「えええ・・・。」
「何かおかしいかい?」
「うん・・・。違和感が拭えないよ・・・。 ちなみにN君はさ、マヨネーズは好きなのかい?」
「もちろん、大好きさ。」
「あああ・・・、ますます違和感が・・・。」