”どっちの料理ショー”が終わってしまった。
大切な物を失ってしまった喪失感が、僕の胸にポッカリと穴を開けている。ああ、どっちの料理ショー。放送開始から約10年、長年見続けてきた大好きなテレビ番組だった。
高校時代、放送時間5分前になると、僕と同じく放送を楽しみにしている祖母が、「おーい、料理のどっちショーが始まるで。」と、声を掛けてくれた。懐かしい。若干番組の内容が変わってしまう祖母の間違いも含めて、懐かしい。
僕は三宅さん贔屓。祖母は関口さん贔屓。三宅厨房悪夢の10連敗などもあった。僕は、「三宅厨房はなんだかメニューの段階で不利なことが多い。」と、三宅さんをかばうが、祖母は、「三宅は気迫がない。」と、一刀両断。
そうなんだ。関口さんは、食べたそうにも程があるだろうというぐらい、勝ちにいっている。だが僕は、関口厨房の特選素材にも平気で「美味しそうですねー。」と言ってしまう、のん気な三宅さんが好きだった。
料理の鉄人も今はなく、どっちの料理ショーも姿を消してしまった。愛のエプロンではダメなんだ。あれは料理番組じゃない。ああ、寂しい。三宅さん、僕は寂しいよ。
約10年、不動の時間帯だった木曜9時。この穴はなかなか塞がりそうにない。