前回のコラム「ビンゴ in ビンゴ」にて、みごと『巨大な電卓』を手に入れた僕だったが、この話にはまだエピソードが残っている。
逆転のビンゴを決めた僕は、とりあえず景品を貰いに前へ出て行ったのだが、さすがに6等ともなるとその数字でビンゴしたのは僕だけではなく、他に2人の男性が前に出てきた。
一瞬、「ジャンケンか!?」と思い焦ったが、どうやら他に景品を2つ用意してくれるらしい。助かった。なにしろ僕はジャンケンもからっきし弱いのだ。
「じゃあ順番に3つ、景品を見せますんで、欲しい人から名乗り出てくださいね。早いもの勝ちですよー」
進行を第一に考える司会の人がルールを決めた。これは油断出来ない展開である。ぐずぐずしていると貧乏くじを引く恐れがある。ちょっとでも欲しいものだったら、確保してしまった方がいいかもしれない。
と、そんなことを考えていたところ、最初に出てきたのが『巨大な電卓』だった。キレイに包装されたA4サイズの物体を、「電卓です」と言って差し出す司会の人。「これが!?電卓!?」と、面食らってしまったのと、まったくの偶然だが前日に電卓がなくて困ったことがあったのも手伝って、僕は思わず「これ!欲しいです!」と言ってしまった。
「昨日電卓がなくて困ってたところにビンゴゲームで当たっちゃうなんて、凄くツイてるな!」
そう思えていた時間は10秒も続かなかった。次に取り出された景品、それは「スチームアイロン」。他の2人が同時に名乗り出てジャンケンを始めた。おい、君たち、電卓の時は動かなかったじゃないか。おいおい、ちょっと。
そして、ジャンケンに負けた方の人に渡された最後の景品、それは「ポップコーン製造機」。ちょっと本格的なサイズ。スチームアイロンを手に入れた人が「あー、そっちでも良かったなあ!ははは!」とか言ってる。その横で立ち尽くしている僕が抱きしめているのは電卓。巨大だろうがなんだろうが、電卓だ。
席に戻って包み紙を取ってみると、箱には大きな文字で「エレクトロニック・カリキュレーター」と書いてあり、みんなそれを見て笑ってくれた。こんな運の使い道。まあ、よしとしておこうか。