右にパコーン 左にスコーン と、カナの打つモルォは景気よく飛んでゆく。なんだなんだ、出来るんじゃないか。幻さんを剛とするならカナは柔のヘルシアとでも言おうか。左右へひょうひょうとモルォを打ち返す様はなかなかたのもしい。
「やるじゃないか!素晴らしいよ!」
駄目かと思っていた人材がこんな形で期待を裏切ってくれて、鬼コーチ空振丸の口からもこんな誉め言葉が飛び出す。
するとカナはニコーーーーーッと笑ってやたら上機嫌になり、皆の所まで走って行くやいなや、ルンルンと音符マークを飛ばしながら素振りをはじめた。どうやらおだてに弱いらしい。これも重要なデータである。例えるなら、馬の頭の先に何をぶらさげれば良いのか、それが解ったわけだ。何て有益なんだろう。
さてさて、個人練習も半分を過ぎた。ここらでダーッと展開を早めようじゃないか。
「ヤマダにコバヤシー!(チョイチョイ)」