少し今更な話ではあるが、コンビニ限定で売られていた「ハッピープッチンプリン」。みんなは食べただろうか。
このプリン、何がハッピーかって、とにかく「デカい」。通常のプリンの3.6倍もあるそうで、実際の見た目もかなりの迫力。中心から均等にデカくしたと言うより、「ムリヤリ等身を伸ばした」というイメージで、見た目のバランスがかなり不恰好なのだが、ポイントはまさにそこだ。迫力とは、例外なく「ヤケクソな感じ」に宿る。
さて、この「ハッピープッチンプリン」であるが、やはり気になるのは動機である。いきなりこんなデカいプリンが売り出されたのは何故なのか。
この動機について、友人が小耳に挟んだ情報を聞かせてくれたのだが、それが実にグッとくる内容で僕は胸が熱くなった。
話によると、どうも販売元の人たちは「どうしたらもっとプッチンして貰えるんだ……」と、日々悩んでいたらしい。なるほど、言われてみれば僕も、もう随分とお皿にプッチンしていない気がする。「洗い物が増える」というリスクもあるし、「私は毎回プッチンしています」という人は少なそうだ。
そこでこの発想である。下手な広告戦略も、啓蒙活動も必要ない。
「プリンを……、デカくするんだ!」
まさに、プッチンプリンの本質を愛する人たちの情熱が生んだ、シンプルかつクリティカルな結論。みんなも一度は覚えがあるはずだ。ツメをプッチンと折ると、窮屈なカップから解放されたかのようにプルンプルンと躍動するプリンへの憧れ。
そう、あの純粋な感情を再び呼び起こさせる為に、プッチンプリンはデカくなったのである。恐らく、かの有名な配管工「スーパーマリオ」の存在も、この発想に無関係ではないだろう。
この友人の話が本当かどうかは定かではないが、こういう感情に訴えかける発想を僕は大いに支持したい。そしてこの話を耳にした僕は、数日後にはテーブルを前に「ハッピープッチンプリン」と対峙しており、あの頃の純粋な僕との再会を果たしている。
さぁ、「これでもか」とばかり大袈裟に書いてみたが、もし心の奥に僅かでも衝動を感じたならば、少しも迷うことはない。プッチンしない限り食べにくいだけの波型カップにイライラする君とは、今日限りでバイバイさ。