テレビを観ていたら、体を足の裏でぐいぐいと踏み込むマッサージを紹介していた。
「フーレセラピー」というらしいのだが、近頃のこの類の「流行り物予備軍」の乱れっぷりは、いよいよのところまで来ている気がする。狙いは付けずに乱れ撃ち。ヤケクソ気味に飛び交う弾。なんでもアリである。
ところで、この「足の裏でぐいぐいと踏み込む」という行為には、あきらかにマッサージとは違う側面があると思う。それはサディストとマゾヒストのせめぎあい。「SM」である。
実際にインストラクターがリポーターにやり方を説明する時にも、「もっと強く!もっと強く!」と煽りをいれているし、さらには「缶を踏み潰すようなキモチで!」などと、例えにも遠慮がない。
と、ここで踏む側ではもうひとつ悦に入れないでいるリポーター(ここは僕の私見だが)に、インストラクターが「今度は踏まれてみましょうか」と声をかけた。観ているこっちもなんとなくドキドキしてしまう展開。果たして目覚めはあるのか。
恐らくこのセラピーには、これまで自覚のなかった人がここで自己啓発され、「専門のクラブ」で尖ったカカトにぐいぐいと踏み込まれに通いつめる、という「人の流れ」があるんだと思う。「マゾへの踏み絵」と言ってもいい。そう考えると、「女王様」よりも「インストラクター」のほうが、随分とエロく聞こえるから不思議なものだ。
最終的に顔までぐいぐいと踏み込まれながら、リポーターは「きもちいい~」と恍惚の表情を浮かべていた。それはこのリポーターの「属性」が、思わぬ形でお茶の間にバレてしまった瞬間だった。