「豚集め大会」で、「ベーコン」という名前の女性が優勝した。そういう記事があった。
当然、記者がおもしろい話だと思うから記事になるわけで、この場合の「おもしろい」は、「豚を集めるのがうまいベーコンさん」という、珍妙なフレーズにあるだろう。つまり、「蚊を叩くのがうまい香取さん」みたいなことだ。これはちょっと違うか。
まぁ、名前のところに目を向ける前に、「豚集め大会なんて大会があるんだ」という、そもそも話の切り口でも話は進められるけれど、ここで僕が本当に慮りたいのは、いちいち集められる豚側のキモチだ。
大会というからには、それなりの参加人数なのだろう。ひとりひとりの競技のたびに、あの手この手で集合させられては、次の競技のために散り散りにさせられる。集まっては散らされ、集まっては散らされ、1日中その繰り返しでくたくたになる豚たち。きっと、「用もないのに集合させるなブー!」と、怒っている豚もいるのだろう。
そういえば会社の近所にも、2階の窓から顔を出すだけで、無数の鳥を地面に集めることができるおじいさんがいる。たぶん、その窓から餌をばら撒いていたことで習慣づいたのだろうけど、あのおじいさんが「鳥谷さん」とか、「鳥越さん」なら、そのうちに記者がやってくるのだろうなぁ。