「ザ・お正月 初詣スペシャル 夜のハットリくん編 べんべん」
誰かこのフレーズを知っている人はいないか。
それは1月2日に実家から戻るべく乗車した特急列車でのことだった。僕から5つほど前の席に座っていた、「ガリガリガリクソンのおかっぱを坊主頭にしたようなお兄さん」が、乗車した3時間半の間、だいたい10分に1回の頻度で叫んでいたのが冒頭のフレーズである。
その声は、例えるなら「綺麗に裏声のでないチャーリー浜」のような奇声で、フレーズの最後に「べんべん」があることでわかるように、浪曲の調子だ。タイトルも「お正月スペシャル」としておけば良さそうなものだが、あえて「初詣スペシャル」としているのも注目のしどころだと言えるだろう。
また、乗客の全員に絡んでいったくだりも話しておかなければならない。1グループごと順番に話しかけていくのだが、話の入りが「いやー、いよいよ明日、紅白の視聴率が出ますね」と、まったく同じだった。そんなに気になりますか、紅白の視聴率。当然、僕のところにも来たので少し乗っかってみると、「オズマが裸でね」と言う。いつの話だ。
こういうおもしろな出会いが多くなる状態を、僕は「鶴瓶指数が高い」と呼んでいる。去年はどうもこの鶴瓶指数が低かったので、今年はなんだか楽しみである。
最後に、おもむろに車掌さんを呼び止めては、「エグザイルは団体割引になるのか」を繰り返し尋ねていたことも、書き添えておこう。