生乾きの与太話をモゾモゾと書いてます。読んだアナタの口元が、「ふにゃ」と緩めばしてやったり。日常の隙間にご覧あれ。
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945号 「入眠徒労する」
 どうも入眠が苦手だ。

 深夜にある程度の眠気があって、暗くした部屋と布団があればヒトは眠れるもんだと聞いているのだが、これがなかなか上手くいかない。最近はやたらに肩がこったりもするので、これはまくらを変えてみるのがいいんじゃないかとAmazonで購入してみた。安眠重視、肩こり軽減のまくらだ。

 届いてみると、おおきな寝返りにも対応出来そうなサイズ、そして重厚感。高さもちょうどよく、寝転がってみても感触がいい。これはいけるんじゃないかと期待も高まるのだが、まくらと一緒に付いてきたバッグが僕のヤワなハートに引っ掛かった。


 バッグが付いてくるとは知らなかった。いや、正確には見落としていたのだろう。商品ページのどこかに書いてあったに違いないが、とにかくバッグは付いてきた。

 小学生が水泳パンツや水中メガネを入れておくバッグは、概ねこれで出来ている。そういう素材のバッグ。あとは、購入したまくらがぴったり納まるくらいのおおきさで70〜80cmあるだろうか。そういうサイズのバッグだ。サイズがぴったりであるからには、これは購入したまくらを持ちはこぶためのバッグなのだろう。え?これ、持ちはこぶようになることを想定しているのか。

 「まくらが変わると眠れない」という話は聞いたことがあるが、そもそもまくらが何であれ眠れない僕はあまり意識したことがない。でも、このまくらにはバッグが付いてきた。もしかするとこれは、「このまくら無しでは眠れなくなるぞ」ということを暗に示しているのではないか。そんなことは考えていなかった。外泊するたびにこの旅行カバン級のバッグにまくらを詰め込むようになる僕。「おおきい荷物ですね」なんて言われて、まくらであることを説明する僕。わー、宣伝効果だー。


 よく眠れたら眠れたで不安。悩ましいよ入眠。
 

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# by lofibox | 2018-08-21 00:22 | ノーマルコラム
944号 「義理と人情とチョコレート」
 まもなくバレンタインデーである。

 各お菓子メーカーのバレンタイン商戦も白熱していることと思うが、そんな中、大手ブランドの「GODIVA」が「義理チョコをやめよう」という広告を出して、これが話題になっているらしい。

 「GODIVA」と言えば高級なチョコレート。そういう印象があるので、本命チョコを引き受けるブランドならではの広告なのかもしれない。一方で、「一目で義理とわかるチョコ」を標榜している有楽製菓のブラックサンダーは、「いいじゃねーか」というようなことを言っているらしく、まぁ立場としても当然の話だと思う。


 ここで僕は、改めて「義理」という言葉について辞書で引いてみることにした。僕が小学生の頃から愛用している由緒正しい中ぶるの辞書である。だからどうってことはないが、とりあえずこれが基準ということで。

 えーと、なになに。義理とは、「人とのつきあいで、かならず守り、どうしてもしなければならないと感じること」であると。わー、こりゃあ重い。どうしても渡さなければならないと感じるチョコ、かあ。すごい切迫感。一般的な義理チョコのポップさゼロ。脅迫でもされているのか。

 句例をみると、「義理と人情の板ばさみ」とある。これを言い換えると、「義理チョコと人情チョコの板ばさみ」ということになるか。人情チョコという新たなジャンルが産声をあげた瞬間。おぎゃー。と、生まれたのはいいが、「人情」を辞書で引いてみると「おもいやり」とか「いつくしみ」を指すことが多いのだそうで、想像するに「いつくしみ」でチョコを貰う方が、義理で貰うよりキツくないか。うん、たぶんキツい。やめよう。人情、ダメ。絶対。


 まあ、GODIVAとブラックサンダーのぶつかり稽古については正直どちらでもいいのだが、この時節である。僕は甘いもの好きですよ。と、表明しておきます。もっといえば、チョコもいいけどおちょこやあちょこもいいよね、というようなことをいっちゃうおじさんですよ。と、これも付け加えておきますね。
 

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# by lofibox | 2018-02-03 04:59 | ノーマルコラム
943号 「コーヨーとライフ」
 今回は徹底的に個人的な内容にしてみたい。

 我が家からの徒歩圏内にはスーパーマーケットがふたつある。コーヨーとライフだ。町の古株はコーヨーの方で、ライフはそのすぐ近くに昨年オープンしている。当然、通い慣れているのはコーヨー。しかし、ライフはコーヨーの3〜4倍ほどの店舗面積を誇り、品揃えも豊富だ。従って、買いたい物とそのジャンルや品数にあわせて、どちらのスーパーに行くかを決める、というのが基本的なスタンスになるが、実際のところ広過ぎるスーパーはどうにも疲れてしまうので、心情としてはややコーヨー贔屓、というのがより正確な分析になるだろう。


 と、ここまでは他人も共感しやすい内容だと思う。近所にスーパーが複数ある場合、このような思考プロセスで行くスーパーを選択するのは自然なことだ。より徹底的に個人的な内容になっていくのは、ここからである。


 まず話しておかなければならないのは、僕が非常に寿司によわいということだ。握りにも巻きにもよわいので、本質としては酢飯によわいのかもしれないが、まぁとにかくよわい。

 ある晴れた日。別に曇りでも雨降りでもよいが、晩飯に向けて買い物に行く僕。行き先はコーヨーだ。野菜から鮮魚、肉と売り場を巡り、作りたい料理をあたまで組み立てながら、カゴの中はどんどん充実していく。その日だけのプリミティブなインテリアコーディネートがカゴ内で完成を見たところで、レジに向かう。当然だ。出口に向かう訳にはいかない。

 そう、レジに向かわなければならないのだ。しかし、である。ここが今回のコラムの最重要点。モスト・インポータント。コーヨーのレジ前は、寿司売り場になっているのだ。


 寿司売り場はいつもきらきらしている。色取り取りの華やかさで、眺めていると火つきの煙管が幾つも差し出されている遊郭の光景が思い浮かび、「上巻きだな」「鉄火もあるな」「助六に割引シールが貼ってあるな」などと口をもごもごさせている内、弾んできた心のままに手が動いて、僕はひとつの寿司をカゴの上に置いてしまう。インテリアが崩れる瞬間である。

 当然、帰宅した後の晩飯には存在感の強い寿司がいるから、充実させていたカゴの中身は大半が冷蔵庫に押し込まれることになる。通い慣れていて、かつ店舗面積もちょうどよいコーヨーの、唯一の罠がこれだ。

 一方、広過ぎる店舗面積ではあるものの、ライフのレジ前は漬け物売り場になっており、こちらは何とかかわせる。コーディネートを崩すことなく買い物を終えることが出来、結果、冷蔵庫のインテリアも安定する訳だ。


 難しい。なかなか上手くいかない。全てが自分に都合良く最適化されることなどないこの世界において、スーパーマーケットもまた然りだ。僕の徹底的に個人的な日々の葛藤、お分かり頂けただろうか。寿司に高揚する生活の話、これにて幕切れ。
 

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# by lofibox | 2017-07-20 20:24 | ノーマルコラム
942号 「例えばこれがずんだもちなら……?」
 シベリアで訓練中のソ連軍部隊。その頭上に突如UFOが現れ、部隊はこれを地対空ミサイルで撃墜した。すると墜落したUFOから5体の小型ヒューマノイドが出て来て、瞬く間にそれらが1体に融合。明るく輝き出したかと思うと数秒後には爆発し、それを目撃していた23人の兵士は石になってしまったそうだ。

 これは、ソ連崩壊に伴いCIAに流出したとされる、KGBが保有していた機密資料の中に紛れ込んでいた報告書にあった内容だそうで、同文書は現在CIAの公式ウェブサイトでも閲覧可能、とのことである。今日付けのニュースの見出しを眺めていて見つけた記事だ。


 UFOの存在すらあやふやだと思っていたら、これだ。地対空ミサイルで撃墜するわ、そこから5体も小型宇宙人が出て来るわ、そいつらが驚天動地のフュージョンをキメるわで、トッピングだけでもう大盛り。機密資料がポップにウェブで閲覧出来るという飛び級ぶりも含めて、事実か虚構か、そんなことはどうでもいいよね?という気持ちにさせてくれる記事。ここまでの盛り付けをされると、最後の兵士が石になっちゃったところなんかは些細なことで、例えばこれが羊羹でもういろうでも話は繋げられると思う。


 ういろうになってしまった場合、宇宙人よりもまず名古屋が疑われるだろう。何かの物質に変化してしまった兵士。ちょっと甘い匂いがするのでぺろっと舐めてみた一人が、「こりゃういろうじゃないか!」と叫んで、これは名古屋の仕業じゃないかということになる。その場合、機密資料が公開されるのはCIAじゃなくてどこかの地方都市の観光協会のウェブサイトになるだろう。

 では、たこ焼きになってしまった場合はどうか。やはり大阪が疑われるかもしれない。しかし、宇宙人というのを火星人に絞って考えればどうだ。別の可能性が見えてくるのではないか……?


 つらつらと書いていたら、別の可能性どころか話の落としどころが見えなくなってきたので「……?」と結論をぼかしてみた。しかしそれにしても、「火星人=タコ型」という強烈なすり込みは、僕らの宇宙像を幾らか楽しいものにしてくれているなあ。
 

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# by lofibox | 2017-07-16 18:09 | ノーマルコラム
941号 「一寸先はダーク」
 「7カ国語を流暢に話す4歳の女の子がいる」という話題が、世界中で拡散されているらしい。

 女の子はロシア出身。一般参加型のテレビ番組に出演して、そこでロシア語、英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、アラビア語の7カ国語を話すネイティブスピーカーたちと流暢に会話をしてみせた、とのこと。母国語すらおぼつかないはずの年齢で、まさに驚異的というほかない。

 ところで僕は、高校卒業後に地元を離れ、大阪に住んで16年になるおじさんだが、すっかり地元の方言も思い出せなくなり、といって関西弁もいまひとつ板についていない。「お前のなんでやねんはなんかおかしい」などとも言われる中、江戸落語をはじめてしまった影響で、ますますどこの話し言葉で会話しているのかわからなくなってしまった。

 遊ぶようにしていつのまにか7カ国語を話せるようになったという4歳の女の子と、意図せずしていつのまにか3つの方言がごちゃごちゃに混ざってしまったおじさん。このままではいけない。彼女からしたら僕は九官鳥にも劣るおじさんだ。ここは一念発起、英語の勉強からやり直そうか。話せるようになってみようか。

 もしかして、それも混ざってしまうのだろうか。
 

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# by lofibox | 2017-06-15 22:17 | ノーマルコラム